お知らせ
2025-03-06 07:00:00
胃腸炎症状における当院の検査方針に関して:ノロウイルス検査等は基本的に行なっておりません。
現在、乳幼児〜高齢者まで幅広い年代で胃腸炎症状の方が増えており、連日多くの患者さんが来院されております。
ひとえに胃腸炎症状(嘔吐・下痢など)といっても、後に重症化して点滴や入院が必要となる事や虫垂炎や憩室炎など他の疾患と判明する事もあるので、臨床症状や経過に関しては十分に注意して頂く必要があります。当院では、症状遷延や増悪時には関連病院等での精密検査も推奨・調整しております。
特に小児においては胃腸炎自体だけでなく、それに続発する脱水や栄養不足(低血糖など)で全身状態が悪化するケースも多いので注意が必要です。
表題の、胃腸炎症状に関する検査方針に関してです。
*まずノロウイルスの検査に関してですが、現在保険適応で検査を受けられる方は以下に該当する方になります。
・3歳未満の患者
・65歳以上の患者
・悪性腫瘍の診断を受けている患者
・臓器移植後の患者
・抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、または免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者
上記以外の方は自費での検査となってしまいます。それに加え、検査のデメリット(嘔吐下痢時に自身で便器で下痢便を採取して頂く事や、綿棒のような物を肛門に挿入して採取が必要になるケース)、検査判明までの時間(数日程度要する事もあります)、初期治療への影響(ノロウイルス自体への特効薬はなく、まずは通常の整腸剤等での対応となります)なども考慮し、当院では基本的にノロウイルス検査を行なっておりません(ガイドラインでも全例ルーチンでの検査は推奨されておりません)。
各種ガイドラインに準じて、状態や重症度(入院適応となる可能性など)により、ノロウイルスの検査が必要となりそうな場合は関連病院等での対応を調整・依頼しております。
受診の際は、あらかじめご理解頂ければ幸いです。
上記、検査の方針に関しては医療機関によっても異なる部分かと思いますので、事前にノロウイルス検査を希望される場合は、他院へのご相談もおすすめしております。
*同じく便培養検査(便の中の細菌を調べる検査)の方針に関してです。
ノロウイルス検査と同様に、ガイドライン等でも胃腸炎症状の患者さん全例へのルーチン検査は現在は推奨されておりません。
一般的な感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎・細菌性胃腸炎)では重症化例等を除き、まずは一般的な対症療法(整腸剤など)で治療を開始する事が推奨されております。抗生物質に関しても時に胃腸炎に悪影響を与える事もあり、適応に関しては慎重に検討する必要がある事がガイドラインにも記載されております。
ノロウイルス検査と同様に、検査の侵襲の問題や結果判明までの期間(培養結果判明までに約1-2週間かかる事もある事。そもそも一番割合の多いウイルス性胃腸炎であれば有意な菌が検出される可能性が低い事など。)なども考慮し、当院でも一般的な胃腸炎症状の方の初期対応時には便培養等は基本的に行なっておりません。臨床症状や重症度(抗生剤の適応の有無)、各種基礎疾患、患者さんの状態(そもそも便が採取可能か)などに応じて、血液検査等の追加検査とともに検討させて頂く方針としております。
こちらに関しても医療機関によって方針の違いはあるかと思います。
当院を受診される際はあらかじめご確認頂ければ幸いです。