主な病気や症状
心不全
心不全について
・心臓のポンプとしての機能が障害された状態を心不全といいます。心臓の収縮力が弱くても、拡がりが悪くても心不全を起すことがあります。
・心不全の症状としては、息切れや疲れやすさ、むくみや体重増加、しんどくて横になれない、などが有名です。
・心不全は、徐々に進行し命に関わってくる病気ですが、現在は様々な有効な治療法が開発されてきています。
・心不全のタイプによって有効なお薬も変わってきますので、何より早期の診断や治療が重要です。
・心不全の診断には心臓エコー検査はとても有用な検査で、当院では院長自身が施行しております。
当院では主な連携先医療機関の1つである倉敷中央病院が発行している心不全手帳を診療に活用させて頂く事がございます。心不全手帳を活用する事でより良い連携や治療に繋がっていくものと考えています。
足のむくみ・浮腫
足のむくみ・浮腫について
・足などにむくみができる方は多くいらっしゃると思います。
・危険なむくみとしては、心臓病や心不全によるむくみ、足に血のかたまりができる事によるむくみ(深部静脈血栓症)、甲状腺機能異常によるむくみ、などがあります。
・検査としては血液検査やエコー検査などで行っていきます。しかし実際には、立ち仕事や座り仕事の多い方(特に女性で夕に悪くなりやすいケースなど)、ご高齢で下肢の運動量や筋力自体が低下してきている方、血圧を下げるお薬や漢方の影響が出ている方など、特別な治療が必要のない方も多いです。それらの場合はストッキングの着用やリハビリ、お薬の調整などで対応します。
動悸
動悸(胸がドキドキする、脈がとぶ感じ、血圧計で脈異常と表示された)について
・胸のドキドキした感じや脈がとぶ感じなどを自覚される方や、血圧計でエラーが表示される方もおられます。
・悪性度の低いものから高いものまで様々な不整脈が原因の事もあれば、疲労やストレス、貧血、甲状腺機能異常など心臓以外の原因で動悸を自覚される方もいます。
・検査としては心電図検査や血液検査、エコー検査などを行います。特に症状を自覚されている時の心電図波形が診断に重要な事が多く、自宅での24時間心電図測定(ホルター心電図検査)を積極的に活用します。スマートウォッチ等で異常を認めた際にもご相談戴ければ、できる範囲で対応いたします。
・不整脈の種類によっては早めに当院から専門病院へご紹介しカテーテル治療などを相談させて頂きます。
不整脈
不整脈について
・胸のドキドキした感じや脈がとぶ感じなどを自覚されている方の全てが危険な不整脈というわけではありません。
・しかし、健診で偶然みつかった不整脈(期外収縮など)でも時に何らかの心疾患が隠れていることもあります。
・やはりいずれの不整脈においても、診察、エコー検査、血液検査等でその方に他の疾患が隠れていないか?の確認が重要です。
・不整脈の種類によっては早めに薬剤を使用したり、当院から専門病院へご紹介しカテーテル治療などを調整させて頂きます。
心房細動
心房細動について
・心房細動は有名な不整脈です。脈がバラバラになる不整脈で、年齢を重ねるごとに発症する確率が高くなっていきます。
・症状の有無や持続時間などによりいろいろなタイプに分けられます。甲状腺機能異常など心臓以外の病気で起きる事もあります。
・未治療で放っておくと、血のかたまりができて脳梗塞を起こしたり、将来的に心不全の状態になりやすくなる可能性もあります。
・診断は心電図検査や24時間心電図測定(ホルター心電図検査)等を積極的に活用します。スマートウォッチが発見の手がかりになる事もあります。
・心房細動の治療選択肢は様々で、エコーなどで心臓の状態を評価した後に、脳梗塞予防の血をサラサラにするお薬を使ったり、脈や症状を抑えるお薬を使う事もあります。病状や患者さんのご希望によっては早めにカテーテル治療を念頭に当院から専門病院へのご紹介を提案させて頂きます。
胸の痛み・胸の苦しさ
胸の痛み・胸の苦しさについて
・若年者からご高齢の方まで、日常生活でなんとなく胸の痛みや苦しさを自覚される方は多いと思います。
・症状の性質などにもよりますが、特に比較的若年の方などは、『胸痛症候群』や『心臓神経症』という言葉が最近よく話題になるように、実際は心臓以外の筋骨格系や神経の痛み/炎症などが原因となっているケースも多いです。ストレスや不安、疲労、生活リズムの乱れ、睡眠不足、気温の変化等で起こる事もあり、精密検査を行なっても実際に原因不明/特発性と診断されるケースも一定数以上存在します。
・他に、肺の損傷(気胸)や、胃や十二指腸の炎症などが原因となっている事もあります。胸部CT検査や胃カメラなどを調整させて頂く事もございます。
・危険かつ患者さんが一番心配されるのは、心臓による症状という事も多く、心電図やエコー等でまず危険な病気の検査から行います。必要時は連携先病院での特殊なCT検査やカテーテル検査を調整します。
・特に朝や夜などの安静時の胸痛には、攣縮性狭心症(異型狭心症)や微小血管狭心症(CMD:冠微小循環障害)といった疾患が含まれている可能性があります。これらは通常の狭心症と比べて、生活習慣病のない比較的若年世代や女性にも多いと考えられており、詳しい問診や今後の方針相談が必要です。
胸痛症候群・心臓神経症 etc
胸痛症候群・心臓神経症などに関して
・検査で明らかな原因が見つからず、原因の分からない胸痛を総じて胸痛症候群と呼ぶ事があります。比較的若い年代の女性に特に多いと言われています。実際にはかなりの患者さんがいるのではと感じています。報告によりますが、筋骨角系や神経系に由来する症状が多いとされています。日によって症状に変動があったりするのも特徴です。最近ではいわゆる自律神経失調や調節障害(OD)等との関与も疑われています。
・心臓神経症は、不安や緊張/ストレスが、胸の痛みや動悸などの症状として現れるものといわれています。環境の変化などにより不安やストレスが強い方、気分が不安定な方、比較的繊細なタイプの方などに多く発症する傾向があります。胸の痛み/動悸、息切れ/呼吸困難感などの他に、手足のしびれ/冷感/発汗、頭痛/めまいなどを伴う事があります。これらも最近では自律神経や調節障害等との関連も報告されています。
・そのような状態も疑われる方に、どこまで身体的な検査を行なっていくべきなのか、他の疾患(各種狭心症や肺やホルモン系の病気など)の除外検査をどこまで行なっていくべきなのか悩ましい部分があるのも事実です。適宜患者さんの病状や希望に応じて主治医との相談が望ましいと考えます。必要に応じて、内科だけでなく整形外科や心療内科等と連携が必要なケースもあります。
・主な対応としては、疾患情報の共有や生活改善に加え、少量のβ遮断剤で症状を安定化させたり、漢方薬等で経過をみていく事も多いです。病状や症状によっては少量の抗不安薬を使用したり、心療内科の専門医の意見をおききしながら併診させて頂くケースもあります。
・その他に比較的血管リスクのない比較的若い世代の方や女性などにおいて、胸痛を引き起こしやすい かつ 比較的よく遭遇しやすい疾患としては、テイーチェ症候群/肋軟骨関節炎(局所の炎症がみぞおちの剣状突起周辺や鎖骨と胸骨をつなぐ胸鎖関節などに起こる)、肋骨骨折、Precordial Catch Syndrome(プレコーディアル・キャッチ症候群)などがあげられます。いずれも実際には対症療法で経過をみていく事も多いです。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)について
・胸の痛みや苦しさ、息切れの原因となる有名な病気です。高血圧/糖尿病/高脂血症などの生活習慣病や喫煙歴をお持ちの方に多いです。
・症状の有無や持続時間などによりいろいろなタイプに分けられますが、典型的には動いたり階段を登った後に胸の苦しさが5分以上継続する事が特徴です。
・狭心症を未治療で放っておいたり、心筋梗塞を起こしたりすると、急に心臓が止まるような不整脈を起こしたり命に関わってきます。
・心電図検査や血液検査、エコーなどで心臓の状態を把握した後に、疑わしい方は専門病院での早期の心臓CT検査やカテーテル検査を調整させていただきます。特に心臓CT検査は当院から直接予約できる病院もあり、日帰りで検査が行える事も多いのでまず初めの検査として有用です。紹介先は希望に応じて相談させて頂きます。
・専門病院でカテーテル治療の方針となった場合にも、カテーテル治療後は当院で引き続き外来管理を継続していく事が可能です。ご希望に沿って対応致します。
異型狭心症(攣縮性狭心症)・微小血管狭心症(CMD:冠微小循環障害)
異型狭心症(攣縮性狭心症)・微小血管狭心症(CMD:冠微小循環障害)について
・朝や夜に安静にしている時や寒い時期などに急に胸痛を引き起こす病気です。生活習慣病や喫煙習慣のない方にも発症します。
・動脈硬化による通常の狭心症では動いた後に症状が出やすいですが、攣縮性狭心症は何もしていない時にも出やすいのが特徴です。寒さや疲労、ストレス、飲酒や喫煙などが原因となる事もあります。
・攣縮性狭心症と似た病気である微小血管狭心症(CMD:冠微小循環障害)も最近注目されています。30代〜60代の女性に起きやすく、攣縮性狭心症よりも更に微細な血管に原因があるとされ女性ホルモンの関与も疑われています。
・診断は何より問診が重要です。それに加え心電図検査や血液検査、エコーなどで心臓の状態を評価していきます。攣縮性狭心症/微小血管狭心症(CMD:冠微小循環障害)の確定診断には特殊なカテーテル検査等が必要な事が多いですが、結果的に治療としては血管を拡げる作用のある通常の薬剤になる事が多いので、診断的治療として薬剤治療を先行させるケースもあります。特殊なカテーテル検査等での確定診断を希望される方には、専門病院へのご紹介を相談させて頂きます。
・攣縮性狭心症と微小血管狭心症(CMD:冠微小循環障害)は、通常の冠動脈CTやカテーテル検査だけでは一見正常に見えるため、INOCA(イノカ:非閉塞性冠動脈疾患)とも呼ばれており、最近注目を集めています。
画像・資料提供:アボットメディカルジャパン(許可なく他のサイトや資料等への転載はご遠慮ください)
この度患者さんからの問い合わせやご相談を頂く機会が増えている胸痛の中でも、特にCMDに関して院内でも使用している資料を、アボットメディカルジャパン様のご厚意により掲載させて頂きます。ぜひご一読ください。画像をクリックすると拡大して見やすくなります。
息切れ
息切れについて
・軽い歩行や階段などで息切れを自覚される方も多いと思います。息切れは心臓や肺の病気だけでなく、貧血や甲状腺の病気、神経の病気、体格や筋力低下など、様々なことが原因となります。
・症状が緩やかに進んできている方はご自身で気付きにくく、知らない間に動く範囲が減っていき、体の機能が衰えていくケースもあります。
・息切れの原因は色々あるので、問診や診察を行なった上で必要な方には、血液検査やレントゲン検査、呼吸器機能検査などを行う事があります。病状やご希望次第では、早めに連携先病院でのCT精査などをこちらから提案させて頂きます。紹介先はご希望に合わせて相談させて頂きます。
肺気腫(閉塞性肺疾患/COPD)・肺高血圧症
肺気腫(閉塞性肺疾患/COPD)・肺高血圧症について
・肺気腫は喫煙歴のある男性に多い病気です。息切れを自覚していてもお歳のためと考えて、なかなか相談されず診断がつく時にはすでにかなり重症化している事もあります。
・現在は吸入薬など治療選択肢も増えています。喘息の有無などもチェックし、病状や希望に合わせてお薬の相談などを行います。治療開始前に一度CT検査等の調整をさせて頂く事もあります。
・肺高血圧症は通常の高血圧症と違い聞き慣れない方も多いと思います。通常の高血圧とは違い、肺の血管の血圧が上がったり流れが悪くなる病気です。一般的に女性に多く、息切れを起こしやすい病気です。原因は多岐にわたりますが、まずはこの病気を疑う事が重要と考えています。通常の診察や画像検査では診断に至りにくい事も多く、心臓のエコー検査などを組み合わせる事が有用とされています。
高血圧症(本態性、2次性)
高血圧症(本態性、2次性)について
・高血圧の約8~9割を占めるとされる本態性高血圧には、生活習慣と遺伝的な体質の両方が関係している事が多いです。しかし高血圧の中には、2次性高血圧といって何らかのホルモン等の異常により高血圧を来しているケースもあり、そのような患者さんをいかに早く見抜くかが課題となっています。
・またひとえに高血圧と言っても患者さんによって危険因子や合併症は異なるので1人1人に合わせた対応や治療目標が重要です。
・高血圧の治療の基本は食事療法と運動療法です。診察時にも説明いたします。
・しかし血圧がかなり高い場合や、患者さんの危険因子や合併症によっては早めに薬剤を用いた治療を行う事も実際には多いです。
・病状や患者さんの事情に応じて通院間隔や処方日数もご相談させて頂きますので、お気軽にご相談ください。
糖尿病
糖尿病について
・予備軍の方も含めると非常に多くの方がお持ちの疾患です。健診や人間ドックで指摘されるケースも増えています。
・早期治療が重要な疾患で、放置する事で将来的に様々な合併症を引き起こし命に関わってくる事があります。
・病状に合わせて、治療開始前には血液検査等でご自身のインスリンの数値を調べたり、特殊な糖尿病や他の疾患が隠れていないかの検査を行う事もあります。
・現在は患者さんの生活スタイルに応じて、様々な内服薬や注射薬の選択肢も増えています。毎日のインスリン注射を使用せずに治療できる方も多いです。
・健診や人間ドックで、予備軍と指摘された方も含めて一度早めに医療機関へのご相談をお勧めします。現在は体重を減らす作用のある薬も多く開発されており、それらを早期に用いる事で早期改善につながるケースも多いです。もちろん1人1人に応じて、食事や運動に関するお話なども外来でさせて頂きます。
脂質異常症(コレステロール、中性脂肪)
脂質異常症(コレステロール、中性脂肪)について
・糖尿病と同様に、健診や人間ドックで指摘を受けるケースも多いと思います。放置する事で危険な心筋梗塞や脳梗塞につながる事があります。
・ひとえに脂質異常症といっても、LDL(悪玉)コレステロールが高い方、中性脂肪が高い方など様々です。近年はHDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールのバランスも重要と報告されています。
・治療としては糖尿病同様に基本は食事や運動療法ですが、患者さん1人1人の危険因子や合併症に応じて治療目標を設定していきます。
・内服薬だけでも多くの選択肢があるので、適宜患者さんに合わせてご相談させて頂きます。時に、家族性高コレステロール血症が疑わしい方もおられますので、そうした場合は早めの精密検査などを調整させて頂く事があります。
高尿酸血症・痛風
高尿酸血症・痛風について
・糖尿病や脂質異常症と同様に、健診や人間ドックで指摘を受ける事も多いと思います。腎臓のご病気と同時にみつかる事もあります。
・尿酸が高い=痛風(典型的には足の親指の付け根の痛み)と思われがちですが、尿酸が高い方全てに痛風が起きるわけではありません。ただ、高尿酸血症を放置する事で、痛風や腎臓の機能低下などにつながりやすい事も事実です。
・治療としては糖尿病や脂質異常症と同様に基本は食事や運動療法ですが、患者さんの危険因子や合併症に応じて治療目標を設定します。高尿酸血症に関しても治療薬の選択肢が増えてきています。
・よくプリン体カットのビールなら大丈夫か?というご相談を受ける事も多いですが、アルコールそのものや食事内容自体が原因となっている事もありますので、そのあたりも外来でご相談させていただきます。
いびき・眠気(睡眠時無呼吸症候群)
いびき・眠気(睡眠時無呼吸症候群)について
・睡眠時無呼吸症候群というご病気をご存知でしょうか?夜間睡眠中に本人が気づかないうちにしばらく息が止まっていたり、大きなイビキをかく状態が続く事をいいます。日中の強い眠気の原因にもなります。
・放置しておくと、高血圧や生活習慣病の悪化、心臓疾患や脳卒中の発症など様々な悪影響を及ぼす事が明らかになっています。
・何よりもまずは疑って検査を受けてみる事が重要です。主な検査の流れとしては、まずは当院で説明や予約調整後に夜間の簡易検査を自宅で行い、その結果に応じてすぐに治療に進むか、連携病院での精密検査(1泊2日)を行うか判断します。
・治療としては、減量などの他に持続陽圧呼吸療法(CPAP)があげられます。
・CPAPとは鼻に装着したマスクから送り込んだ空気の圧で息の通り道を確保する治療です。CPAPは夜間のイビキや日中の眠気などの症状を改善するだけでなく、生活習慣病や心臓/脳疾患などの重大な病気に直結する動脈硬化の進行予防などにも役立つことがわかっています。
・夜間のイビキが改善する事で同居されているご家族の睡眠の質が向上する事も多く経験します。
・検査や治療の費用の事など含め、お気軽にご相談ください。一般的に全て保険適応ですが、継続が重要ですので、費用面などもしっかりご理解頂いた上で、診療を進めていくのが良いかと考えています。